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テス - 名無しさん 2007-09-06 16 07 23 あ - 名無しさん 2007-09-06 16 08 32 あ - 名無しさん 2007-09-06 16 08 45 s - 名無しさん 2007-09-06 16 08 52 あ - 名無しさん 2007-09-06 16 09 02 s - 名無しさん 2007-09-06 16 09 07 てす - 名無しさん 2007-09-06 16 08 39
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前回僕が女に、美夜子ちゃんがねこみみ付きにされてから、 ボクらは慌てて事務所へ戻りました。 最初ボクらを見て、 美夜子ちゃんが依頼人を連れてきたと思った翔太郎さんに口説かれそうになったけど、 まあその、どうにかツッコミでボクだと判断してもらったらしく誤解は解けました。 「……で。どうしてこうなった」 翔太郎さん投げやりだなぁ……。 亜樹子所長は美夜子ちゃんにねこじゃらし突き出して遊んでるし。 「ほ~ら美夜子ちゃぁ~ん♪うりうり~♪」 「む、所長さんやめてください。と美夜子は聡里さんのところへ避難します」 美夜子ちゃんはそう言って僕のひざの上に乗ってくる。 「おっと。はいはい、美夜子ちゃん落ち着いて」 「ん、聡里さん……ごろごろごろ」 頭を撫でてあげるとごろごろ喉を鳴らして目を瞑りくつろぐ美夜子ちゃん。 本当に猫みたいだな……体に意識が引っ張られてない? 「えっと、かくかくしかじかで……」 「まるまるうまうまなわけか」 端折り方が適当なのはお目こぼし下さい。 まあそんな感じで説明を終えた後、僕は少々ブルーになっていた。 「それにしても、ボクが、女になるなんて……人生なにがあるか判らないな」 「いや、今更それを言うの聡里くん!?」 亜樹子所長にツッコミを入れられた。 まあ、最近忘れがちだけど異世界に来ちゃったんだし、たしかに今更な気もするけど。 「まぁ、ねぇ……それにしても、どうやってあのドーパントを探しましょうか。 さすがにさっきのガサ入れで相手も警戒してるでしょうし」 「ガサ入れってお前な……だが、聡里のおかげでどうにかなりそうだ」 翔太郎さんに言われたけど、僕何かしたっけ? 「ま、あのドーパントのいた所を調べれば手がかりの一つも見つかるだろ。 んじゃ、行って来るぜ。お前らは今日はゆっくりしとけ。 仮にもドーパントの攻撃でそうなったからには、何があるかわかんねぇからな」 翔太郎さんはそう言ってドーパントのいたマンションの一室へと向かっていった。 「……ってことなんだけど、美夜子ちゃん、どうする?」 ボクが言うけど、美夜子ちゃんはこっちに頬ずりをしてきた。 「聡里さん、このまま一緒に居てください。と美夜子は頬ずりしつつ懐きます♪」 わーやばい、かわいい。そんな煩悩を吹き飛ばすべく、僕は美夜子ちゃんを撫でる。 「にゃあ、ごろごろごろごろ……」 「かぁ~わぁ~いぃ~いぃ~!!」 もっとかわいくしただけでした!えーい、御坂美夜子、惚れ! と、いうわけで今日のボクらは戦闘要員じゃないようです。 というかフィリップさんが言うには、Wには影響が与えられないんだとか。 なんでも、Wは『二人で一人のライダー』なので、フィリップさんが検索してわかった 『チェンジメモリは一度に一つの対象しか変化させられない』 という制約にひっかかるんだとか。 というわけで、ボクらは今回は事務所で待機です。 なんだけど。 正直、この状況で事務所にいるのもかなり大変だというのに気づいたのは、 翌日でしたが……。 ~翌日~ 「ん、あふぅ……朝か」 翔太郎さんは早速捜査に出かけているようです。 で、今事務所にいるのはボクと美夜子ちゃん、フィリップさん。 ボクはたまの休みにのんびりしていようと思ったんだけど…… 「で、美夜子ちゃん。これは?」 ボクの横で、パジャマの上半身だけを着て(!)寝転んでいるねこみみ美夜子ちゃん。 「聡里さん、美夜子の相手をしてください。 と美夜子は上目遣いに聡里さんの前で尻尾を揺らします」 尻尾まで生えてたのね……というか! 「まず服を着なさい っていうか本気でネコになる気か美夜子ちゃんボクはタチじゃないぞ!」 一息で言い切った。 百合百合しい会話になりましたがスルー願います。いやボクは(元)男だけどね!? 「にゃあ、じゃあ私から先制攻撃を。と美夜子は聡里さんに飛び掛ります!」 「わぁぁぁぁっ!!」 文字通り猫のようにしなやかにボクに飛び掛る美夜子ちゃん。 つーか作者さん自重して!? 作者『悪い、それ無理。むしろお前ら早くくっつけ』 「どういう意味だぁぁぁぁっ!?」 「聡里さ~ん。と美夜子は猫なで声で聡里さんのパジャマを脱がせます♪」 「や、やめて美夜子ちゃ、きゃあっ!」 うっわ~ボクもこんな声が出せるんだな~女になっちゃうと。 ……じゃなくて!! 「いい加減に、しろぉぉぉぉぉっ!!」 「にゃあぁ~~!?」 ボクが突き飛ばすと美夜子ちゃんはひっくり返ってしまい、 「にゃんの!」 「うわっ!?」 そのまま襟を引っ張られて美夜子ちゃんの上に覆いかぶさる形になった。 その時間が悪く亜樹子所長が来て…… 「あ~聡里くん? せめてそれは同性同士じゃなくって異性だったときにすればどうかな?」 「Σ(0w0;) ショチョー!? アンタナニイテンダイッタイ!?」←聡里です 「優しく、してくださいね?と美夜子は聡里さんを抱き寄せます」 「(;∴A∴)<絶望がボクのゴールだ……ッ!?」←聡里です 小一時間後、とりあえず美夜子ちゃんを(ハリセンで)眠らせてから着替えて、 所長と美夜子ちゃんをまとめて説教したのは言うまでもありません。 「まったく、貴女たちは時々とんでもないことやらかすね…… ほら美夜子ちゃん、服を着る!」 「む~、はい。と美夜子は嫌々ながら服を着ます」 と美夜子ちゃんは常盤台中学の制服を着る。ああ、そういえば。 「美夜子ちゃん。買い物に行こう!服を買ってあげる約束を忘れてた! ボクも多少は服装考えたし、美夜子ちゃんの耳も帽子かぶればどうにかなるし」 ボクがそういうと、怒られてへこんでいた美夜子ちゃんがぱっと表情を明るくした。 「そういうことなら、行きましょう聡里さん! と美夜子は聡里さんの腕にしがみつきます♪」 やば、やっぱかわいい。 「あ、だったらフィリップくんは私が止めることになるんだ」 「え、所長、フィリップさんがまた検索でも始めたんですか……?」 ボクの質問、声震えて無かったかな。 なんか凄く嫌な予感がする……。 「うん。私と一緒に二人がいちゃいちゃしてるのを見た後、 『これが[百合]という文化か……ゾクゾクするねぇ。早速検索だ!』 とかいって、検索始めちゃったんだけど」 「フィィィィリップさぁぁぁぁぁん!?」 (当たって欲しくない)予感的中。 これでフィリップさんが道を踏み外さないといいけど。 「はぁ……もうどうにでもなれ。じゃ美夜子ちゃん、行こうか」 「はい、聡里さん! と美夜子は聡里さんの手を引いて行きたいお店に向かって歩き出します♪」 「ちょ、あんまり引っ張らないでよ!今のボクは非力なんだからぁ……」 それを見ていた亜樹子、お茶を飲みつつぽつりと一言。 「相思相愛っていいわねぇ……」ずず…… 天然なお母さん的ポジションを手に入れた亜樹子であった。 ~三十分後・美夜子の目的地にて~ 「ここです。と美夜子は聡里さんにお店を指し示します」 そういって美夜子ちゃんが止まったのは、ウィンドスケール社が経営する、 女性向け総合ファッションセンターだった。 「ウィンドスケール社かぁ……そういえば、いろいろアクセサリーも作ってるんだっけ。 翔太郎さんたちの服もここのメンズファッションだったっけ」 と考えつつ、美夜子ちゃんに引っ張られる形で店内に入っていた。 「聡里さん、これを着てみて下さい。と美夜子は服を突きつけます!」 「いや、あの……ミヤコサン?ナズェソノフクナンディス?」 渡されたその服はメイド服だった。 他にもかなりマニアックな服をキープしているあたり、少々危機感を感じる。 「前に、二人に買ってもらった服でかわいかったので。 と美夜子は風都を案内してくれた二人を思い出します」 クイーンにエリザベス、美夜子ちゃんになんてもの与えてるの!! というかこの子をどういう風にする気だったんだ!? あとなんでそんなもの置いてるのウィンドスケール…… 「いや、ボクはもうちょっと落ち着いた系のほうがいいと思うんだけど。 さすがにその、Vネックのワンピースはやめて。胸元まで来てるから、ネック」 そんなこんなで、ボクはとりあえずジーンズに横縞の長袖Tシャツ、 その上から黒のベロアジャケット、というスタイルに落ち着いた。 手首のグリーンクリスタルのブレスレットがアクセント。 服は男に戻っても着られるように少しだけ大きめにしてある。もったいないし。 ……というか美夜子ちゃんの服選びに来たんだったよね!? と、いうわけで次は美夜子ちゃんの私服選び。 「美夜子の服は聡里さんが選んで下さいね」 と言われ、僕は少々悩みながら店内を歩き回った。 ……ヤバい、やっぱり思いつかない。というわけで仕方ないのかなんなのか、 ロシアにいた妹達の一人の服を参考にしてみた。 「この服ですか?と美夜子はくるりと一回転します」 「いいんじゃないかな。僕にはファッションは良く判らないんだけど」 下はボクと同じくジーンズ(発想力貧困な作者のせいです)。 上はシャツの上にライトブラウンのセーター、 さらにその上にあずき色の、これまたボクと同じベロアジャケット。 白いもこもこの帽子は、耳を隠すためでもあったりする。 それで買ってお店を出ようとした僕らだけど、 会計の時に一つ、アクセサリーが目に入った。 「あ、そうだ。これも買います!」 と、ボクはそれを買って、美夜子ちゃんにあげる。 「ほら、これ。あげるよ」 そういってボクが差し出したのは、 クリスタルグリーンと黄色の二つのハートが組み合わさった形のペンダント。 「これは?と美夜子はペンダントを見つつ考えます」 「その、ね。似合いそうだったからさ。プレゼントだよ。ボクもおそろいのを買ったし」 ボクがそう言いつつ同じペンダントを見せると、 少し顔を赤らめてつつ美夜子ちゃんは、そのペンダントを付け聞いてきた。 「似合いますか?と美夜子は聡里さんに聞いてみます」 「勿論。気に入ってくれたみたいで良かったよ。それじゃ、これからどうしようか?」 美夜子ちゃんに聞くと、今日はのんびりしたいみたいだ。 彼女もいろいろあったし、今日は風都の観光名所でも巡ってみようかと言う話になった。 注・ここから怒涛の場所紹介になります。 興味ない方はしばらく飛ばしていただけるといいかと ~風都博物館~ 「ここはこの風都で凄い発言力を持った富豪一家の家長、 『園咲 琉兵衛』さんが館長をしている博物館で、いろんなものが展示されてるんだ。 恐竜の化石とか、地上絵の模型とかね」 ~風都署~ 「ここが風都の警察署、風都署。ドーパント絡みの事件に対応するために、 『超常犯罪捜査課』っていう部署があるんだってさ。 翔太郎さんの知り合いの刑事さんたちも働いてるよ。 それと、最近新しいライダーシステムも開発してるんだって。 何システムだったかな、えーっと……まあいいや」 ~風麺~ 「この屋台のラーメンは凄く美味しいんだ。他に隠しメニューもあるとか」 「こ、これはすごい。と美夜子は巨大ななるとに圧倒されてしまいます」 ~FM WIND WAVE~ 「ここは風都のFMラジオ局。 この前捜査ではがきを読んでもらった『園咲 若菜』さんが ここでパーソナリティをしてるんだ。 その番組『園咲若菜の「ヒーリングプリンセス」』はかなりの高視聴率らしいよ」 ~天道屋~ 「ここ、『天道屋』。ボクがバイトしてるおでん屋さんだよ。 ここの店主の天道さんの腕が超一流で、最近の風都の隠れ人気料理になってるんだ。 天道さん、こんにちは。」 「聡里か。今日はお前は休みじゃなかったか?……ん、そっちの女は?」 「彼女は御坂美夜子ちゃんです。うちの事務所の新しい助手です」 「はじめまして。と美夜子は挨拶しつつお辞儀をします」 ~風都マーケット~ 「ここはいろんな食材を皆が持ち寄って安く売ってるスーパーなんだ。 いつもお世話になってるよ。 ……あ、翔一さん。今日のおすすめの魚と野菜はなんですか?」 「ああ、聡里くん! 今日の鰤は新鮮だよ~。 それと野菜なら、うちで作ったトマトいるかい?」 「あ、じゃあ両方買いますね」 「(というか聡里さんが女になっていることは突っ込まないのでしょうか? と美夜子は疑問を抱きます)」 ~OREジャーナル~ 「ここの新聞はいろんな情報が早くって助かるんだ。事務所でも一部とってるし。 でも、時々変なコラムが載ってたりするんだ。アレなんなんだろう」 ~西洋洗濯舗 菊池~ 「ここのクリーニング屋さん、 ボクらは良く服をとんでもない汚しかたしたりするから着てるんだ。 この前のおとり作戦で使った服(血糊付き)を持っていったら、 さすがにビックリされたけどね」 「当たり前です。 と美夜子はその事件の事を聞いてみたい衝動をおさえつつ突っ込みます」 ~甘味処 たちばな~ 「ボクがお世話になった人がここを進めてくれたんだけど……あ、日高さん!」 「よ、青年!元気にやってるか?」 「はい、日高さんは最近どうですか?」 「もちろん万事順調さ。なんたって……鍛えてますから!」シュッ 「(ここでも普通に受け入れられていますね。 と美夜子は自分がおかしいのかと真剣に悩み始めます)」 ~多国籍料理店 クスクシエ~ 「このお店は季節とかによっていろいろなフェアをやってるんだよ。 ボクもここでいつか働いてみようかな……千世子さーん、お邪魔しまーす!」 「は~い!あら、あなたは?」 「あ、ボク今女の子なんだっけ。聡里ですよ。よく翔一さんの野菜を配達に来る」 「聡里くん!?こんなにかわいらしくなっちゃって……ってきゃあ!」 「あぁっとっと、御免なさい千世子さん!」 「映司さんもお元気そうで何よりです。」 「えっと、君は……「かくかくしかじか」ああ、聡里くんか!でも、何で女の子に?」 「それは、その……できれば聞かないでください」 ~風都都立・天の川高校~ 「で、ここが風都でもかなり自由な校風で人気の『アマコー』だよ。 なんでも、最近凄い癖のある転校生が来たらしいよ」 ~風都タワー~ 「最後はここ、風都タワー。 ボクが翔太郎さんたちに協力し始めて最初の依頼で守った風都のシンボルだよ。 それと、この風都タワーには都市伝説があってね。 毎年夏に花火大会があるんだけど、 そこでふうとくんと記念撮影をしたカップルは結ばれるんだって。 つまり縁結びの都市伝説だよ」 「え、縁結び……と美夜子は聡里さんとの事を考え少々にやけてしまいます」 「うおーい美夜子ちゃん、漏電してるってば!!」 HKT(ハイパー観光タイム)終了。飛ばしてきた方お疲れ様でした。 で、僕ら二人は風都タワーが良く見える高台のベンチに座って、おしゃべりをする。 「もう夕方になっちゃったけど、とりあえず風都はこんな感じかな。 美夜子ちゃん、風都の感じは判った?」 僕が聞くと、頷いてにこりとする美夜子ちゃん。 「はい。とても面白い街で、退屈しなさそうです。 と美夜子は聡里さんにもたれかかってみます」 と、ボクにもたれかかってくる美夜子ちゃん。 「疲れた?それじゃ、帰ろうか」 ボクが手を差し出すと、 「はい。と美夜子は聡里さんと、手を繋ぎます」 彼女も手を差し出し、ボクらは手を繋いで帰り始めた。 ~風都ホテル前~ ボクらが事務所に帰ろうと風都を歩いていると、 いきなり轟音が鳴り響いて路地から人影が飛び出してきた! 「もう、なんなんだよせっかくの……ってダブル!? 翔太郎さん、大丈夫ですか!?」 「ああ、こんくらいなら大丈夫だ、と言いたいとこだがさすがにちょいとキツいな」 『すまない聡里くん。すぐに片付ける予定だったんだけど、意外に厳しくてね』 ダブルは、周囲の物を変化させて攻撃してくるのでなかなか手ごわいらしかった。 「まったく、せっかくいい空気だったのに、邪魔した罪は重いですよ?」 ボクがそういい、ドーパントとダブルの間に立った。 「あぁ、アンタ女にしてやったあのボウヤかい!再戦ってこと? いいよ、やってやろうじゃないの!アンタにアタシの能力が効くのは実証済みだしね!」 そういい、いきなり光線を撃ってきた。 その光線を、ボクは実体化させたメモリーブレードでぶった切る(・・・・・)! 「いいですか、ドーパントさん……」 「な、なんなのさアンタ。光線を生身で斬るとか、ありえないでしょうが!」 ボクのとった行動に戦々恐々としているらしいドーパントにボクは一言。 「いい加減人を弄ぶのをやめろってんでしょーがこのマッドドクター!!」 [Memory!] ボクはそのままドーパントへ向けて走りながら変身し、拳を握る。 「く、来んな! 来ないでぇぇぇ!」 「さぁ、天国を……味わえってんだよッ!!」 [Memory! Maximum-Drive!!] ボクはその怒りを乗せ、ドーパントにアッパーを放つ。 「喰らえ!怒りのメモリーアッパー!!」 「いやぁぁぁぁぁっ!!」 [Memorise! Change!!] なにやらメモリーメモリから電子音が鳴り響いたけど、スルーした。 そしてボクのアッパーで吹き飛んだドーパントはメモリブレイクされ、メモリが排出。 使用者の女医は捕まり、風都署へ連行された。 余談だけど、彼女が目を覚まして第一声が『緑色の魔王がっ!』だそうで。 まったく失礼な。 [とこんなわけで『風都連続変換事件』は幕を下ろしました。] [その後、僕が変身を解くとどうにか男に戻れていて、] [美夜子ちゃんもねこみみと尻尾はなくなり、元に戻っていました。] [でも少々猫っぽいところが残っちゃったみたいですけどね。] [なんでも犯人の女医は無免許で、] [それでも手術がしたいからあんなメモリに手を出したみたいです。] [自分で身につけた技術じゃないと、しっかりできているのかもわからないのに。] [それはそれとして、] [今日は美夜子ちゃんが『ミサカネットワーク』に接続できるそうです。] [当麻くんたちの様子も知りたいし、] [美夜子ちゃん自身の無事も知らせてあげたいですしね。] [どうやら夜中みたいなので、結果は翌日まで待ちましょう。] [それでは、おやすみなさい。] ~ミサカネットワーク~ 「お久しぶりです、ミサカ10385号。とミサカ10032号はネットワーク接続を歓迎します」 「ひさしぶり!ってミサカはミサカは10385号に呼びかけてみる!」 「お久しぶりです、10032号、最終信号(ラストオーダー)。 と発言しつつミサカ10385号はそちらの現状を確認します」 「上条当麻と『お姉様(オリジナル)』は問題ありません。 とミサカ10032号は返答します」 「こっちもあんまり変化ないかも、 ってミサカはミサカはいつまでたっても子供扱いしてくるあの人に憤慨してみたり!」 「そちらはどうなのですか? とミサカ10032号は10385号の恋愛に野次馬根性を発揮してみます」 「私も知りたいかも! ってミサカはミサカはあのヒーローさんのことを思い出しながら聞いてみる!」 「あの人達も元気ですよ、 とミサカ10385号は自分の身に起きたことを憂いつつ報告します」 「何が起きたのですか?とミサカ10032号は疑問を投げかけます」 「何でもありません、とミサカ10385号は情報の開示を拒否します!」 「これは面白そう!ってミサカはミサカは強制的にミサカ10385号にアクセスしてみる!」 「やめてください!みさささかかかかkkkkkk...」 「ほほう、そのヒーローさんが女になって、ミサカ10385号は猫の耳と尾が付いたと。 とミサカ10032号はその光景を確認して微笑ましく思います」 「かわい~!ってミサカはミサカは猫さんの耳が自分にも欲しいって思ったり!」 「あなたの場合は一方通行から今度は愛玩動物扱いされますよ。 とミサカ10385号は少々悔しがりながら一応の制止をしておきます」 「聡里さんとの事、頑張って下さい。 とミサカ10032号はミサカ10385号を応援しておきます」 「こっちは心配しないでね! ってミサカはミサカはネットワークの総意を伝えてみたり!」 「ありがとうございます。そろそろ限界のようなので、またいずれ。 とミサカ10385号は久々のネットワーク会話の余韻を楽しみつつ回線を切断します」 世界を超えても、『妹達』の絆は強い。 続く。 目次へ
https://w.atwiki.jp/ridersnovel/pages/7.html
アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
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[O月K日(天気晴朗なれど波高し)] [この間の『変換事件』以来、僕と美夜子ちゃんは恋人のようになっています。] [僕は美夜子ちゃんの事が、その、好きなんだけど彼女はどうなんだろう……。] [そ、それはともかく!] [最近妙にドーパントがまとまって現れる気がします。] [それこそ、僕らを誘導するみたいに。] [なにか大きな事件の前触れじゃなければいいんですけど……。] 「ふぁ、っぁ。おはよーございますみなさん」 僕が挨拶をすると、皆返してきました。今日も今日とて、依頼は少ないみたいですね。 「亜樹子所長、今日の依頼はありますか?」 「今日の依頼は無いわね……聡里君が来てから、 ペット探しも一日かからずに終わるから助かるわね~」 亜樹子所長はいうけど、やることがないと落ち着かないんだよね…… と、その時。窓をノックする音が。 「スタッグフォン!? ドーパントか!行きますよ、翔太郎さん!!」 「ああ! フィリップ、スタンバイしとけよ!」 「ああ、翔太郎。この間のことは検索を済ませたからね」 この間の事……ちょっとしたトラウマになりそうだ。 「じゃ、行くぜ聡里!」 「アイ・サー、翔太郎さん!」 そう言い合い、僕らは事務所を飛び出しそれぞれのバイクで現場へ向かった。 ~風見採石場~ 僕らが到着したとき、すでに数十体のマスカレイドドーパントが出現していた。 「くっ、こんなに!?」 「怯むな聡里! 行くぜ、フィリップ!!」 [Joker!] 『ああ、翔太郎!』 [Cyclone!] 「了解、翔太郎さん!!」 [Memory!] 「『変身!!』」 「変ッ身!」 [Cyclone! Joker!!] [Memory!!] 「『さぁ、お前達の罪を数えろ!』」 「あなたたちの記憶、見せてもらいます!」 久々の名乗りを上げ、僕らはその怪人の群れに突撃した。 『翔太郎、相手は一体一体ではさして強くない。それでこの人数なら、これだ』 [Heat!] 「持久力重視か……わかった!」 [Metal!] [Heat! Metal!!] Wは防御力を上げて攻撃のダメージを減らすことにして、 「だったら僕は、速攻で行きます。 メモリイジェクター、カブトメモリ・イジェクト!」 [Kabuto!!] 「チェンジ、カブト・マスクド!」 [Kabuto!] [Henshin] 僕は普段のメモリとは違うゼクターの変身音と共に装甲を纏ったカブト、 『カブト・マスクドフォーム』へ変化。そして 「装甲の雨のプレゼントだ! チェンジ、ライダー!」 [Change-Beetle!] 僕は『キャストオフ』した装甲が弾け飛び、僕の周りの二体を吹き飛ばした。 「行きます。クロックアップ!」 [Ability! Clock-Up!] さらにアビリティスロットにカブトメモリを放り込み、起動。 クロックアップ状態になった僕は、一気に十体ほどのマスカレイドを撃破。しかし。 「変身者が、いない?」 そう。その場に落ちたのはメモリと、数枚の割れた銀色の『メダル』。 「あん?メダル? なんでこんなもんが……」 『翔太郎、気を散らしている場合じゃないよ!』 「っと、悪ぃフィリップ! だらぁ!」 翔太郎さんたちWは一対多の戦闘が苦手なため、徐々に押され始めていた。 「ダブル! くっそ、こう数が多くちゃ援護もできやしない!」 僕がクロックアップの限界になりメモリーに戻った瞬間、 僕とWの背後からそれぞれマスカレイドが攻撃してきた! 「やっべ、対応できねぇ!」 「しまっ……!?」 受身なども取れない状態のため重い一撃を覚悟した僕達だったけれど、 [タカ!][トラ!][バッタ!] [タットッバッ♪ タ・ト・バ タットッバッ♪] 「セイヤァッ!」 何かの歌声と掛け声と一緒に横合いから黄色い爪と銀色の拳が叩きつけられ、 ドーパントは弾かれた。 「諦めんな、風都の仮面ライダー!」 「私達が援護する。行くぞ、キバット!」 「キバって行くぜ!」 そこに現れたのは、縦に赤・黄・緑の三色に分かれたライダーと、 吸血鬼を髣髴とさせる、所々に銀の鎖が付いたライダー。 「オーズに、キバ? でも、原作の変身者じゃない、か……?」 僕はそう少々悩む。 (ちなみにそのとき後ろから来たマスカレイドは裏拳でふっとばした) 「ぼさっとすんな聡里! なんだかわかんねぇが援軍がきたからには、とっとと片付けるぞ!」 「あ、はい!」 翔太郎さんの激で戦闘に意識を引き戻し、僕も再び戦いに戻る。 と、その前に僕はオーズに質問を飛ばした。 「オーズ!今どのメダルを持ってる!?」 「え?今はタトバとタジャドル、シグサキ、ブラカワニだ!」 聞いた事無いコンボもあるけど……この中なら、アレで行けるか! 「そうか……よし!だったら、タジャドルで行けるか! よし、オーズ!タジャドルになって、アイツらにマグナブレイズだ! それとキバの君!君はバッシャーで、アクアトルネードを! チャンスは僕達が作るよ! いいですね、翔太郎さん!」 「え?あ、おう。一箇所に纏めりゃいいんだな!」 『だったら、このメモリだね翔太郎』 [Cyclone!] 「だな。行くぜ!」 [Joker!] [Cyclone!][Joker!] 「あの人たちの力、使ってみますか!メモリイジェクター、電王メモリ、イジェクト!」 [DEN-O!] 「も一つオマケに、チェンジ、ロッド!」 [Rod-Form] デンオウベルトの電子音と共に、僕は『電王・ロッドフォーム』へ変化する。 「お前達、僕に釣られてみる?……なんて、行くよ、そぉれっ!」 僕は掛け声をかけ、 翔太郎さんたちがサイクロンサイドの竜巻である程度集めた残りのマスカレイドに、 メモリーの能力で取り出した『デンガッシャー・ロッド』を振るい オーラライン……釣り糸のようなものを巻きつけ一箇所に固めた。 「オーズ!キバ!今だッ!」 「判ったぜ!」 [タカ!][クジャク!][コンドル!] [タ~~ジャ~~~ドル~~~!!] オーズはオーズオライバーのメダルを赤の三枚に入れ替えスキャンすると、 メダルのエネルギーがオーズを取り巻き、炎と孔雀の羽のようなエネルギーが放射され、 『オーズ・タジャドルコンボ』へコンボチェンジし、 「キバット!」 「よっしゃ! バッシャーマグナム!!」 キバはベルトに装着されているキバット族の『キバットバット三世』に 緑色の『フエッスル』を吹かせると、どこからか緑の石像のような物が飛んできた。 キバが右手でそれを掴むと右腕に装甲が付く。 最後に仮面が緑に染まり『キバ・バッシャーフォーム』に姿を変えた。 [スキャニングチャージ!] 「バッシャーバイト!」 「はぁっ!」 「はぁぁぁぁ……」 掛け声と共にオーズは空へ飛び上がり、 キバはバッシャーマグナムを構え敵たちに狙いを定める。 「せいやぁぁぁぁっ!!」 「はあぁぁぁぁぁっ!!」 そのままオーズは背中のクジャクウィングを飛ばしマスカレイドの半分を消し飛ばし、 反対側のもう半分はキバ・バッシャーのアクアトルネードにより吹き飛ばされた。 その戦いの後、僕ら四人は顔を突き合わせて会話していた。 「助かったぜ。オーズにキバ、だっけか?」 「ええ、翔太郎さん。でも『僕が知っている』オーズとキバとは違うみたいですけど」 僕らはそう言って変身を解除し、彼らに自己紹介を。 「俺は左翔太郎だ。助かったぜ」 「僕は星雄聡里。翔太郎さんの助手をしてます。あなたたちは?」 僕が聞くと、彼らも変身を解除した。って! 「君達、高校生!?」 そう。オーズが高校生くらいの男の子、キバが同い年くらいの女の子だった。 「はい。俺は『神代 達也(かみしろ たつや)』です」 「私は『如月 志野(きさらぎ しの)』だ。よろしく頼む。風都の『仮面ライダー』」 そして僕ら四人は情報交換ということで、鳴海探偵事務所へと戻ってきた。 「じゃあ、まず風都に来た理由から聞いていいか? あー、神代だっけか」 「俺の事は達也でいいですよ、翔太郎さん。俺の方が年下ですし」 と翔太郎さんたちが口火を切って、僕らの間の情報交換が始まりました。 「俺たちは、最近京都に『メモリで変身する怪人』が現れたんで、 それを調べにきたんです」 この語りだしから、達也くんが教えてくれた情報は以下の通りです。 一つ.京都に多数のマスカレイドドーパントが現れた。 二つ.マスカレイドを倒すと割れた『セルメダル』が一枚と、 ガイアメモリの残骸がその場に残った。 三つ.マスカレイドのうち一体が『風都』についての手がかりを残していった。 「……って感じです。で、これがその手がかりです」 そういって差し出してきたのは、『ふうとくん』のストラップだった。 「これが怪人、ドーパントでしたっけ?を倒したときに出てきたんです。 で、俺がもともと風都に住んでたんで気づいて来てみたんです」 そういい、翔太郎さんにそのストラップを手渡す達也くん。 「なるほどな……だったら、検索と行くか。フィリップ!」 「ああ、翔太郎。 そう言い、フィリップさんが地下のガレージから出てきた。 「翔太郎さんに聡里さん、この人は?」 「あっと、達也くんと如月さんにはまだ紹介してなかったね。 彼はフィリップ。翔太郎さんの相棒で、地球上の全てを『知る事ができる』人」 僕はそう言いつつ、『地球の本棚』の事を説明した。 「なんと、この人にはそのような力があるのか」 「すっげー! だったら、今回の原因もすぐ判りそうですね!」 志野ちゃんと達也くんははどうやら驚いている。 「あー、そういうわけにも行かねぇんだ。フィリップは、 さっきも言ったとおりすべての事を『知る事ができる』が その情報の全てを『知っている』わけじゃねぇんだ。 なんせとんでもない情報量だからな。 この手がかりがあっても、絞込みはうまく行かねぇと思うぜ」 「そうか……やはり、何事にも万能という物は無いのだな」 「すまない、力になれなくて。だが、まだ手はある」 フィリップさんに言われ、身を乗り出してくる二人。 「じゃあ早速行きましょう!早く解決しないと京都にまた敵が出てきますし!」 「私達にも手伝わせてくれ!出来るだけの事をさせて頂く!」 二人は翔太郎さんに詰め寄り、翔太郎さんはにやりと笑って返す。 「んじゃ、探偵の基本と行きますか」 「「基本?」」 「聞き込み、だよ。ついでに達也。 お前は志野を風都観光に連れて行ってやったらどうだ? んじゃ、俺たちは別行動だから、二人で観光楽しんで来いよ!行って来るぜ!」 と二人に言い、翔太郎さんはハードボイルダーで出かけていった。 「あ~っといけない、私も買出しに行かなくっちゃ! (頑張ってね志野ちゃん。私、応援してるから!)」 括弧の中を志野ちゃんにささやいた後、亜樹子所長は事務所を出て行った。 「それじゃ、僕も。美夜子ちゃん、一緒に行こうか」 「はい、判りました。と美夜子はお二人を応援しつつ事務所を後にします」 と、さすがに空気を読んだ僕と一緒に美夜子ちゃんもついて来て、 事務所に居るのは達也くんと志野ちゃん、そしてフィリップさんだけになった。 ~達也&志野Side~ 「え~っと、んじゃ志野。行くか?」 少々頬を染めながら、こくっ、と頷く志野。 「んじゃ、とりあえず……博物館あたりから行くか」 こくこくっ、と志野は頷き、どちらからとも無く手を繋ぎ風都へ出かけていった。 そして以前聡里と美夜子が回ったような観光スポットを大方回り終え、 二人は風都タワーへと来ていた。 「志野、これが風都タワー。この風都のシンボルで、巨大な発電施設でもあるんだ」 「大きな風車だな。 これならこの街のどこからでも見えそうだ……っ!?」 志野が感心していると突然体の各所に鋭い痛みが走り、 めまいに似た感覚に襲われた。 「く、あ……?」 「ん、志野? 志野!大丈夫か!?」 様子がおかしい志野を心配し達也が額を触り熱を確かめようとするが、 その手を振り払われてしまう。 「志野!?」 「ちが、う。体が、勝手、に、動かされ……あぁっ!」 その時志野が叫び『本来人間ではありえない動き』で立ち上がった。 「何が、起こってるんだ?」 「バッキャロー!志野は操られてんだよ!」 そういいつつ飛んできたのは、キバットバット三世。 「どうやら体に変なモンを打ち込まれてるみてーだな。 俺様の魔皇力で打ち消せるかどうか……ガブッ!」 いいつつキバットは噛み付き志野の自由を取り戻そうとするが、 すぐに彼の様子もおかしくなってしまった。 「おわっ!?俺も体が……!」 キバットは注入した魔皇力を強制的に操らされ、 志野の腰には止まり木のようなベルトが形作られる。 「や、めろ……。やめてくれっ!」 志野とキバットは最後まで抵抗するもキバットがベルトに装着されてしまい、 『ステンドグラスのような色の瞳の』キバに変身してしまった! ~聡里Side~ 「達也くんたち、今頃どんな風になってるかな?」 僕がそう呟くと、その達也くんから電話がかかって来た。 「はい、聡里です。達也くん、そっちの調子は?」 「それどころじゃ無いんだ聡里さん!」 僕の暢気な気分は、達也くんの緊迫した声でどこかへ飛んでいった。 「一体どうしたの!?」 「今風都タワーの前に居るんですが、 いきなり志野とキバットの様子がおかしくなって俺に襲い掛かって来てるんです!」 「なんだって!?」 「キバットが言うには、何かに操られているんだろうって……うわっ!」 そこまで聞いたとき、ぐしゃりという音と共に通話が不意に途絶えた。 多分攻撃をかわしたとき携帯が壊れてしまったんだろう。 「何かあったのですか?と美夜子は聡里さんのただならぬ表情から推察します」 美夜子ちゃんに聞かれ、翔太郎さんに一報入れた僕は状況を説明する。 「幸い、場所も聞いたしこれから向かうよ。思いっきり飛ばすからしっかり捕まってて!」 と美夜子ちゃんに一声かけ、メモリーボイルダーのフルスピードで向かった。 そして数分後、 フルスロットルで駆けつけた僕らが見たのはキズだらけで倒れている達也くんだった。 「達也くん! クソッ、遅かったか……!」 幸い気絶しているだけのようだけど、大事をとって病院へ連れて行こうとした。 その時、いきなり近くの街頭スピーカーから声が流れ出してきたのだ。 『あーあー、聞こえてるか?京都のライダーのお仲間さんよ』 「ッ!? 誰だ!!」 僕はそのスピーカーを睨む。 『おっとと、俺はこのスピーカーを操って声を送ってるだけでね。 そっから普通の手段じゃ辿れねーぜ?』 そいつはどこまでも人を小ばかにしたような態度で話しかけてくる。 「如月さんをどうする気だ?」 『如月。ああ、あの吸血鬼みてーなライダーか。キバとか言ったっけか? アイツは人質だ。明日、風吹山(かざふきやま)の洞窟で待ってっぜ。 その如月ってお嬢ちゃんにテメーらを倒させてやる。 必ず来やがれよ?じゃねーと、おっかねーキバのお嬢ちゃんに [自分で自分を斬らせる]ことになっちまうぜ』 ソイツはとんでもない要求をしてきた。 「ざっけんな!そんな事の為に志野を攫いやがったのかよテメー!」 叫ぶ達也くん。しかし、相手の方はまったく気にしていなかった。 『ハッ、お前が京都から来たもう一人のライダーか。 お前が何かいえる立場だと思ってんのか?お前の好きな女はこっちにいるんだぜ? お前らに拒否権は無ぇ。待ってるぜ、この[オーベディエンス・ドーパント]様がよ!』 そいつが自慢げに名乗った瞬間ブツリと音を立ててスピーカーが音を出さなくなり、 一切の手がかりは途切れた。 「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」 その日、風都に一人の少年の叫びが木霊した……。 続く。 目次へ
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[K月Α日:曇天] [翔太郎さん達の消息が判らなくなってから今日で三日が過ぎた] [どうやら、ドーパントの能力で謎の空間に落とされたようだという事は、] [着いて行かせていたホークフォンの映像からわかったけど、] [何処にいるか、どうやって助けるのかは未だにつかめていない] [こうなったら、今話題の『空を走る電車』とやらに願掛けでも何でもしたいくらいです] [フィリップさんも目を覚まさないし、彼らは今、何処で何をしていのか……] [最近街には真っ白な悪魔が現れるという噂まであるし、これ以上トラブルが起きたらパンクしていまいそう] [さて、今日もフィリップさんの本棚の記憶にアクセスして、ドーパントの事を調べます] ~とあるSide~ 「……聡里さん、相当ヘコんでるわね……」 ドアに隠れて様子を見ている美琴はそう呟く。 実際、この三日間聡里は睡眠食事その他休憩をしていないので、相当やつれていた。 「さとり、ご飯も食べてないんだよ……? とうま、なんとかならない?」 「無理言うなよインデックス。ああなったら何を言っても無駄だと思う」 食事も摂らず検索と探索に没頭する聡里を流石に心配しているインデックスと当麻。 「……ねぇ、ちょっと」 「ん?なんだビリビリ」 「ビリビリ言うな! ねぇ、私達で例のドーパントを探し出さない?」 唐突な美琴の提案に、当麻は驚いて固まっているがインデックスは一も二も無く乗っていた。 「たんぱつ、いや、みことの言うとおりなんだよ!さとりにはご飯をもらった恩があるんだよ!!」 どこまでもご飯がメインなインデックスさんでした。 「(それに、みこととのケンカを止めてくれたいい人なんだよ)」 ……内心は別として。 「……しゃーねーな。でも、危険な事は絶対にしないからな」 そう当麻が締め、三人は事務所を出て行った。 -風都某所- 「おっかしーわねー。私のレーダーに引っかからないなんて」 美琴は磁力や電磁波を利用し擬似的なレーダーのようにし、ドーパントを探していた。 「アイツが居る所は空間でも歪んでんのかって思うくらいレーダーがかき乱されるから判るのに。」 「みこと!早く見つけてさとりを休ませてあげるためにも頑張るんだよ!」 「わかってるっちゅーのに!」 美琴とインデックスがモメているすぐそばで、その『乱れ』が発生した。 「ミツケタ」 「「「っ!?」」」 「コイ!」 その声と共に二人の横の空間に穴が開き、二人はその穴に引きずり込まれた。 「「きゃあああああああ!!」」 「御坂!インデックス!! くっそぉぉぉぉぉぉ!!」 当麻のその叫びは、空しく風都の風に乗り流されていった…… ~とあるSide End~ 僕が検索していると、当麻くんからホークフォンに着信があった。 「聡里さん! 美琴とインデックスが!!」 「え!? 二人がさらわれた!? クソッ、依頼人は守るって言ったのに、僕の落ち度だ……!! 当麻くん、すぐ行くから手がかりをなくさない様にしっかり現場を見張っておいて!」 僕はそう言い、ダブルが置いていったダブルボイルダーに跨り当麻くんに言われた場所へ飛ばしていた。 そして現場に到着すると、当麻くんが相当へこんでいた。 「くっそ、俺が居たのにあいつらをさらわれるなんて……!」 「落ち着いて当麻くん!君が今焦っても、二人は戻ってこないんだぞ!」 「でも、聡里さん!」 「……落ち着けよこのバカ当麻!!」 僕は思わず声を荒らげ叫んだ。当麻くんが驚いているけど知ったことではない。 「僕だって二人をとっとと見つけたいんだよ! でも焦っても被害者達は助けられないからこうして無理にでも落ち着いているんだ! それを何だ!僕がいえたことじゃないが仮にも二人を保護する立場の君がうろたえてどうする! いいか、落ち着け!」 僕に一喝され、当麻くんはようやく落ち着いたようだった。 「……そうですね、すいません聡里さん」 「判ればいいさ。それに、これで唯一で最大の手がかりができた。これだよ」 そういい僕はマンタレイライブラリの画面を見せる。そこには、地図上に青と赤の光点が浮かんでいた。 「じつはきみたちのポケットにこっそりスパイダーショックの発信機を入れさせてもらってたんだ。 これで居場所が判ると思う」 「マジですか!だったら、とっとと助けにいきましょう!」 「うん、勿論!……でも、君は待っていて……と言っても聞かないんだろうね、君は」 と彼に言うと、当麻くんは苦笑しつつうなずいた。 「やっぱりしっかり見ていなかった俺のせいでもありますから。 それに、アイツの攻撃は俺でも消せるみたいですし」 「やれやれ、しょうがない、か。んじゃ、後ろ、乗りなよ」 僕は当麻くんを後ろに乗せ、その電波の発信地点へハードボイルダーを走らせた。 ~美琴Side~ 「う、ん……?」 私が目を覚ました場所は、どこか暗い倉庫だった。 「ここは……そうだ、確か私達……ッ!?」 さらわれたという事を思い出し慌てて周りを見回すと、 周りには自分とインデックス以外に何人も捕まっていた。 その中には、美琴のクローンであるシスターズやラストオーダーたちが捕まっていた。 そして、こっちを見ている一人の男。 「ふふふ、やっぱり黒子ちゃんは良いなぁ。シスターズちゃんもかわいい~。 でも、ラストオーダータンhshs!かわいい~!」 と、いかにも(キモさしかないオタクと言う意味で)キモオタっぽい男が写真を撮りまくってる。 ソイツは美琴が目を覚ましたことに気づくとニタリを笑い、 「美琴ちゃん起きちゃったかー、これじゃいろいろイタズラできないかなー?」 といってきた。相当粘着質な声で。 「何よアンタ!私をさらったドーパントはアンタ!? とっとと開放しなさい!」 と怒鳴った。電撃を放とうかとも考えたが、放電できなかった。 「無駄だよ美琴チャン。君達の能力はその首輪で封じてあるからねwww」 と言われ、慌てて首元を確認すると確かに首輪がついていて、 悪趣味なことにひらがなで『みこと』と書かれた名札までついていた。 あわてて外そうとするけど、カギがかかっていて外すこともできなかった。 「何よこれ!? 外しなさいって言ってんでしょうが!」 「そうやって凄んでる顔もかわいいwww萌え~www」 と、完璧に間違ったオタク感の塊のような男は手をワキワキさせながら美琴ににじりよってきた。 「や、やだ……来ないでよ……」 「ヒヒヒ……さぁて、美琴ちゃんいっただっきまーす♪」 「助けて……助けて、当麻ぁ!!」 私が叫んだ瞬間、轟音と一緒に壁が吹きとんで、目の前から男が消えた。 ……いや、殴り飛ばされた。殴り飛ばしたのは…… 「悪い、御坂。遅くなった」 ~美琴Side End~ 僕と当麻くんが着いたのは、風都の旧工業地帯。その一角にある倉庫から反応があった。 そして、中を覗いた僕と当麻くんは驚いた。中にはとあるシリーズのヒロインたちが居たからだ。 「白井黒子にミサカシリーズ、ラストオーダー、ワーストまで!? どんだけ節操ないんだあの犯人……あ、まさか」 「どうしたんですか、聡里さん?」 僕はある可能性に思い至った。 「最近風都裏ネットで噂の『真っ白な悪魔』って、まさか、『アイツ』か? ……呼び出さないとマズいかな」 「アイツって……?」 「君も一度は会ってるハズだよ……学園都市の第一位」 その台詞に、当麻くんの顔色が悪くなる。そりゃ殺される一歩手前まで行ったからな、この人。 「一方通行(アクセラレータ)……」 「そ。彼はどうやら最近、この街で不良たちのグループを潰してラストオーダー、 あの美琴ちゃんをちっちゃくしたような子を捜してたみたいだよ。 最近裏掲示板で話題になってるから。『幼女を探す白いロリコン』とかなんとか」 「ロリコンすか……でも、それなら確かに呼んだら相当な戦力になりそうな……」 「んじゃ、呼びますか。どうせ風都に居るだろうから……そうだ、若菜姫のコネを使うか!」 実は以前、うちの事務所に若菜姫がストーカーを撃退するよう依頼してきて、そのコネがあったのだ。 「へ、若菜姫?」 「うん。そろそろ彼女のラジオ放送の時間なんだ。だから、彼女のラジオで放送してもらう。 ちょっとまってて」 僕は若菜さんに電話をし、事情を話した。 彼女はフィリップさん達を助けるといったら一も二も無く協力してくれるといい、 スタッフの人も説得してくれるらしく、僕がお願いした文面で読んでもらう事になった。 「後は野となれ山となれ、かな。頼むよ、アクセラレータ……」 ~一方通行Side~ 「チッ、まァだラストオーダーは見つかン無ェか。後どこに居るんだかなァ……あ?」 ラストオーダーが不良をボコって探しているが(当たり前だが)手がかりすら見つからず、 相当イラついているとき、ラジオが聞こえてきた。 『園崎若菜のヒーリングプリンセス、本日のお便りはこちら!打ち止めさんのお便りです!』 「打ち止め(ラストオーダー)か……?」 『私は一方通行さんって人を探しています。彼も私を探してくれているはずです。 一方通行のお兄ちゃん、私は工業地帯のはしっこの倉庫にいます! すぐ来て下さい!お姉ちゃんも一緒です!だそうです。 実はこのお便り、私の知り合いの探偵さんからの依頼なんですよ。 打ち止めちゃん、見つかるといいですね』 これでラストオーダーという事は確定した。だが、探偵?それに姉だと? 「姉はシスターズだろうが……探偵?ンなヤツ知らねェぞ。……だが、行ってみるか……!」 その呟きと共に、アクセラレータの姿はその場から風と共に掻き消えた。 ~一方通行Side End~ 「放送から十分……そろそろ、かな」 僕がそう呟いたとたん、目の前に白い人影が舞い降りてきた。 「テメェか、俺を呼びやがった『探偵』ってェのは。それに、ヒーローサマじゃねぇか。 ホントにここにラストオーダーが居るんだろうなァ、あァ!?」 語気も荒く尋ねてくるアクセラレータに、僕は頷き答える。 「ああ、さっき確認した。それに、シスターズの一人、 多分10032号のシスターズとオリジナルも一緒だよ」 「ああ、成程なァ。道理で俺の能力(チカラ)が使えたわけだ。ンじゃ、殺っちまうか?」 素で物騒なことを言ってくるアクセラ君に、僕は苦笑しつつ返す。 「半殺し程度にしておいてよ?後始末が大変だからさ。 それに、僕もちょっと借りがあるし、残しておいてよね?」 さらりと返す僕に、どうやら当麻くんは怯えたようだった。 (ちなみに後から聞くと、 「あのときの聡里さんのは、シャドームーン並に怖かった……」と言ってた。失敬な) 「んじゃ、戦力も揃ったし、突入しようか。 アクセラレータ君はバッテリーをこれ以上消費しないように後ろに居て。 僕が壁をブチ抜くから当麻くんが犯人を不意打ちしてくれ。王子様役は譲るよ。」 「王子様って……まあいいです。やってください!」 当麻くんにそう言われ、僕はベルトを巻き、 ウェポンスロットにメモリを入れ武器、メモリーシャフトのみを取り出した。 そして、メモリーシャフトにメモリーメモリをセットし、マキシマムドライブ。 「え゛、生身でマキシマムドライブ!?」 たしかに生身でのマキシマムは危険だけれど、この時の僕はそんなこと頭の片隅にもなかった。 「この程度の壁で、僕らを遮れるとでも……天誅!」 叫び僕は壁にシャフトを叩きつけ、壁をブチ抜いた。 そして、粉塵の中を当麻くんが走りぬけ、犯人と思しき人影をブン殴ったのが見えた。 「悪い御坂、遅くなった!」 「本当に遅いわよ、バカ!」 美琴ちゃんは当麻くんに助けられて照れているらしい。 ついでに壁をぶち抜いた衝撃で他の人たちも次々目を覚ました。 「さてテメェ、覚悟いいか……?」 「ラストオーダーを攫うたァいい度胸してンじゃねェか、あ?」 「アンタに天国を味あわせてあげましょう……」 そういい、当麻くんとアクセラレータ、そして僕らはそれぞれ拳と杖、 メモリーシャフトを構え犯人に詰め寄る。 しかし、犯人の体から砂が零れ落ちた。 そして、その砂が形を作り始め、ある怪人になった。そいつは…… 「「ネガタロス!!」」 僕と当麻くんがハモる。そう、その怪人はネガタロス。 電王の世界で「悪の秘密結社(仮)」を作ろうとした悪のイマジンだ。 「正体を知っているやつが居たか。だがコイツとの契約は完了した。俺は過去に行かせてもらうぞ。 ついでの契約料として、コイツは貰って行こう。じゃあな」 ネガタロスはその台詞と共に、 ディメンションメモリを持ったまま男の体を割り開き過去へと飛んでしまった。 「しまった! くっそ、アイツが黒幕だったのか……!メモリも持っていかれた!」 僕は歯噛みして悔しがり、 当麻くんとアクセラレータは安堵していた(アクセラ君は表情には出さなかったけれど)。 「しかし、過去なんてどうやって追いかければいいんだ…… 僕にはデンライナーは使えないし……!?」 僕がそういった瞬間、当麻くんに赤い光の弾が直撃し、 当麻くんの髪型が……あんまり変わらなかったけれど赤いメッシュが入り、瞳が赤くなった。 「ちょ、ちょっとアンタ?どうしたのよ」 「とうまのようすがなんかヘンなんだよ……?」 電撃目録コンビが心配する中、当麻くん(?)はいきなりポーズを取った。 「俺、参上!!」 「「「ええええええええっ!?」」」 イマジンブレイカー、イマジンに憑依される。 なんとも皮肉な事態が発生した瞬間であった。 目次へ
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「成程…大体事情はわかった。買い物をしていたら、いつのまにかこの風都にいた、と」 翔太郎さんが僕にそう聞いてくる。 場所は鳴海探偵事務所。翔太郎さんとフィリップさんが二人で切り盛りしている探偵事務所だ。 「はい。突拍子もないとは思いますが、そうなんです。」 「それにしても、なぜ君は僕たちのことを知っているんだい?それも、ガイアメモリの力についてまで」 「えっとですね、お二人の変身する『仮面ライダーW』、 そしてそのシリーズである『仮面ライダーシリーズ』は僕らの世界では特撮ドラマなんです」 僕のその発言に、翔太郎さんとフィリップさんは驚愕する。 「俺たちの戦いが、テレビドラマぁ!?」 「なるほど、パラレルワールドがあるならばそんな世界があってもおかしくない……面白い。 ムラムラするねぇ」 フィリップさんも翔太郎さんも、本当にテレビ通りなんだ……見てるこっちが面白いよ。 「だったら、君はこれからどんなドーパントが出てくるのかという記憶も持っているのでは? だとすれば、捜査もなにも必要なくなるんだけどね」 「それはできないんです。今の僕は、その記憶を思い出すことができないみたいなので。 ですけど、その局面にあったら思い出せるみたいです」 まったく都合のいい記憶喪失みたいだなぁ。 「そういえば、君の持っているメモリは『メモリー』のメモリだと言っていたね。 一体、どんな能力があるのか教えてくれないかな?」 「もちろんですよ、フィリップさん。僕のメモリ、メモリーメモリは 限定的に地球の本棚の一部へアクセスし、情報を引き出す能力があります」 その説明で、彼はまた驚いたようだった。 「地球の本棚へ?……興味深い。ぜひ君のメモリを調べさせてくれ!大丈夫、絶対に壊さないから!」 その迫力に気おされながら僕が了承すると、 フィリップさんはスキップでもしかねない機嫌のよさで秘密の地下室へ入っていった。 「あ、おいフィリップ!?……ったく、しゃーねーな。 とにかく、お前行くあて無いんだろ?だったら、ここで働いてみる気は無いか?」 とんでもなく良い提案だった。魅力的なんだけど、大丈夫かな? 「え、いいんですか!?でも、ご迷惑なんじゃ……?」 「いいや、迷惑なんかじゃないぜ。むしろ、仮面ライダーメモリーだっけか? の力を貸してくれると俺たちも仕事がやりやすいからな」 「…成程、ギヴ&テイクってことですか。でしたら、こちらも協力は惜しみません。 存分に僕の力、使ってください」 そして、僕は鳴海探偵事務所の助手として、Wの世界で暮らすことになった。 …のはいいんだけど。 「こりゃあぁ!」 スッパァン!! 「痛てっ!」 「あいたッ!」 僕と翔太郎さんの後頭部になにかがいい音をたてて打ち付けられ、僕らは頭を抑える。 「亜樹子ォ!いいかげん人の頭をスリッパでブッ叩くのやめろ!」 「亜樹子さん……初対面の人にも容赦ないんですね」 そう、そこにいたのは鳴海探偵事務所(自称)所長の鳴海亜樹子さんだった。 「だまらっしゃい翔太郎くん!それとその人誰?なんで私の名前知ってるの?」 「初めまして。僕は星雄聡里。今日付けで翔太郎さんの助手になりました。 これからよろしくお願いします、鳴海亜樹子所長。」 「……翔太郎くん、どっからこんな有能な助手拾ってきたの?」 さらりと人を物みたいに言わないでください、亜樹子さん。 「そんなことよりいいかげん突っ込みを手加減しやがれ!」 「何よ、やるかこの~!」 「喧嘩はやめて下さいってば~!」 そんなこんなでどたばたしていると、事務所の入り口のドアが開いた。 「あの……」 そう声を掛けかけて、中で起きているドタバタを観て呆然とする女性。 「亜樹子ぉぉぉぉぉ!」 「いいかげんに……って、お客さん!」 こんな状況でも気づくとは亜樹子さん流石です。 「す、すみません、探偵事務所と間違えました!」 「「「ま、待って待って!」」」 そして、全員そろって唱和する。 「「「探偵事務所です!!」」」 「連続風車破壊事件?」 「はい、そうなんです」 依頼人の女性の名前は、風祭葵(かざまつりあおい)さん。 彼女は風都に無数にある風車を作ったり修理したりしている、 「風祭風工業(かざまつりふうこうぎょう)」の社長の娘さんである。 「最近、町で過剰発電で壊れる風車の数が激増しているんです」 「過剰発電?どういうこと?」 亜樹子さんは良く判っていないらしい。 「はい、説明しますね。元々あの風車は普通の風力発電装置を小型化したもので、 風都に吹き続ける風を利用して発電するものです。 ですが、あまりに強い風、それこそ超大型台風の風などが吹くと、 過剰電圧で配線が焼ききれたり風車そのものが壊れたりするんです。 最近それが一週間に数台のペースで壊れるといった具合で、明らかにおかしいんです」 「ほう、そいつは放っておけねぇな」 あ、翔太郎さんスイッチ入った。 「困っている女性を放っておくのはハードボイルドとは言えないからな。 それに、風都の象徴の風車を壊して回っている奴がいるとしたら、 そいつはこの風都を泣かせている。そんな奴は、この俺が放っておけねぇ。 この依頼、受けさせてもらう」 「ありがとうございます、左さん!」 「良いって事さ。俺たちの専門分野という気もするしな。それじゃ、何かわかったら連絡入れるぜ」 「はい、よろしくお願いします。では、また」 そう一言言い、風祭さんは帰っていった。 「連続風車破壊事件、かぁ……何でそんなことするんでしょう、翔太郎さん」 「わからねぇ。だが、 瞬間的に、かつ局所的にそんな台風も超えるような風を吹かせることは普通はまず不可能だな」 「ということは……ドーパント、ですか」 「そういうことになるな。うっし、まずは風車が破損したところに行ってみるか。資料は持ったな?」 「はい、翔太郎さん!あ、それとフィリップさんに一言声掛けて行きましょう。 たぶんまだメモリーメモリをいじってると思うので」 「そうだな、地下に入るか」 とまぁ、そんなこんなで地下室に入った僕らが目にしたものは、ぶっ倒れているフィリップさんだった。 「フィリップぅぅぅぅぅぅぅ!?」 「フィリップさぁぁぁぁぁん!?」 どうしてこうなった。 そして二人して介抱し、ようやく目を覚ましたフィリップさんは、 「……面白い!ゾクゾクしっぱなしだよ!!」 「「開口一番それかよ!!」」 こんな状態である。 しばらくして落ち着いたフィリップさんから僕らはメモリーメモリのことを教わった。 「聡里くん、君のメモリからアクセスできる本棚は、僕が入れる物とは独立していた。 そして、中の記憶も大半が封印されている状態みたいなんだ」 「え、そうなんですか?」 変身したときに違和感があると思った。そういうことなのか。 「だが本のタイトルくらいはわかった。でも、そのタイトルも意味がわからない単語ばかりなんだ。 これから言う言葉、あるいは名前に心当たりがあったら言ってくれないかな?」 「はい、どんな単語なんですか?」 「ああ。クウガ、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド。 それから、響鬼、カブト、電王、キバ、ディケイド、オーズという単語なんだけどね」 「え、それって!」 むしろ心当たりしかないよ、これは。 「なんだ、一体何の記憶なんだ?」 「え~っと、ですね……僕や翔太郎さんとフィリップさん以外の、ライダーの名前です。 それも、結構最近のライダーですね」 「へぇ……興味深いね。だけど、僕もこのメモリのプロテクトは解除できなかったんだ。 だけど、まったく新しいメモリガジェットの設計図データが入っていた。 これから製作してみるよ。」 「本当ですか?なんでガジェットのデータが……?」 まぁ、考えていても始まらないか。って、何か忘れてるような……あー! 「翔太郎さん、依頼のこと!」 「おっといけねぇ、忘れてた!フィリップ、俺たちはこれから依頼された事件の捜査に行って来る。 メモリーメモリはもういいか?」 「ああ、翔太郎。メモリーメモリに僕側からリンクを作ったから、 これからは僕の本棚側からいつでもアクセスできるし、 メモリーメモリから僕の本棚が閲覧できるようになっているはずさ。メモリのほうは聡里くんに返すよ」 「便利なもんだな。じゃ、行くぞ聡里!」 「了解です、翔太郎さん!」 そして、僕たち二人は風都で捜査を開始した。 途中なんか見覚えのある人が魚屋さんで小指を魚の口に突っ込んでいたり、 木の上に自転車ごと引っかかっていた不幸な人を助けたりしつつ。 すべての風車が壊れた場所を見ていくと翔太郎さんが共通点を発見した。 「デートスポット、ですか?」 「ああ、ウォッチャマンやクイーンとエリザベスに聞いて判ったんだが、 風車が壊された場所の近くは有名なデートスポットがあってな、 風車が壊された関係で人を近づけないようにしたらしい」 「と、いうことはもしかして?」 「ああ、他人の恋愛を妬ましく思っている奴だな犯人は。 だが、あと一箇所壊されていない有名なデートスポット、それも特大のがある」 「それってまさか、『風都タワー』、ですか?」 「その通りだ、さすが助手だな。犯人は大体、週末や祝日に事件を起こしている。 ちょうど今日は金曜、風都タワーに張り込むぞ」 「わかりました。フィリップさんに連絡して、犯人がどこから行動を起こすのか検索してもらいましょう!」 と、言うわけで鳴海探偵事務所に戻ってくるとフィリップさんは嬉々として変わった形のノートパソコンと携帯を操作していた。 「フィリップ、検索だ……って、なんだそりゃ?」 「ああ、翔太郎に聡里くん。いいところに来たね。メモリガジェトが完成したよ」 「本当ですか!どこにあるんですか!?」 そう僕が聞くと、フィリップさんはおもむろに二本のギジメモリを取り出した。 そして、ノートパソコンと携帯にそのギジメモリを挿入した。 「紹介するよ。彼らが新しいメモリガジェット、『マンタレイライブラリ』と『ホークフォン』だ!」 [MANTAREY!][HAWK!] ガイアウィスパーが鳴り響くと、パソコンと携帯が変形してマンタと鷹になった。 「おお、コイツが新しいメモリガジェットか!」 「すごい!ありがとうございます!」 「さらに、マンタレイライブラリにはメモリーメモリからのデータ読み込みもできるようにしてある。 一応、キーワードがあれば検索もできるようになっているから、役に立つと思うよ。 どうかな、彼らは?」 さ「……」←感動で言葉すら出てこなくなっている 翔「……」←驚愕で固まっている 1分後 「あ~、フィリップ、検索だ。頼めるか?」 「もちろんさ。……さぁ、検索を始めよう。キーワードは?」 「キーワードは、『風都タワー』、『攻撃』、『隠れ場所』だ」 そのキーワードで、フィリップの検索結果がある程度絞られた。だが絞りきったほどではない。 「駄目だ翔太郎、絞り込みきれない。他にキーワードは?」 「あ、フィリップさん!キーワード追加、『風圧』!」 その一言で、フィリップの検索が一冊の本に絞り込まれた。 「ああ、検索完了だ!ナイスだよ聡里くん! 翔太郎、結果は風都タワーの裏側の廃工場だ。そこで張り込みしていれば、ドーパントが現れるはずだよ」 「ありがとよ、フィリップ。んじゃ、ちょっくら行って来るぜ」 僕と翔太郎さんは、メモリとドライバーを持ってその工場へ向かった。 そして時間は過ぎて翌日の深夜二時ごろ。丸一日張り込んでいたけれど犯人はまだ現れていない。 「翔太郎さ~ん、アンパンと牛乳買って来ましたよ~」 「助かった、これまでは買い込んでから見張りするしかなかったんでな」 「いえ、お安い御用ですよ……!来た!翔太郎さん、これ!」 僕はそう言って翔太郎さんにPCモードのマンタレイライブラリの画面を見せる。 そこにはホークフォンの暗視カメラから転送された映像が映っていて、 工場の入り口から入ってくる一人の冴えない男が写っていた。 「でかした聡里。気づかれないようにアイツに近づくぞ」 「アイ・アイ・サー」 闇にまぎれて動くのって小さいころからなんかワクワクするね。 ~犯人サイド~ 「くっそ、クリスマスなんかなくなっちまえ!デートなんかさせるかよ!」 暴言を吐く彼は冴えない容姿と陰気な性格のせいで、まったく女性に興味を持ってもらえなかった。 そして男は、クリスマスをブチ壊すというその考えに取り憑かれ、 禁断の力、ガイアメモリを手に入れてしまった。 そしてその男はスタートアップスイッチを押し、メモリを起動させる。 [AIR!] 「デートスポットなんて、壊れちまえばいいんだ!!」 そう吐き捨て変身しようとした瞬間、工場内に声が鳴り響いた。 「おおっと。そんなことさせると思うか?」 「思い通りにはさせませんよ!」 「!!」 ~聡里サイド~ ドーパントにセリフを投げつけながら登場する翔太郎さんと僕。 相手は露骨に悪意のこもった表情になり、ガイアメモリを握り締める。 「うるせぇ、人が仕事するしかない日に横でイチャイチャされる方の身にもなれってんだ!邪魔すんな!」 そしてその男は、自分のひじにある生体コネクタにガイアメモリを挿入し、 ドーパントへ変身してしまった。 「うわぁ、ドーピングしちゃったよ」 「しゃあねぇな。フィリップ、聡里!こっちも行くぞ!」[JOKER!] 「もちろんさ、相棒」[CYCLONE!] 「わかってますよ、翔太郎さん!」[MEMORY!] 「「変身!」」 [CYCLONE! JOKER!] 「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」 「変っ身!」 [MEMORY!] 「貴方の記憶、見せてもらいます!」 『翔太郎、あのドーパントは『エア・ドーパント』。空気を操る力を持っていて、 かまいたちを飛ばして攻撃するらしい』 「だったら、このメモリだ!」 そう言い、翔太郎さんは左側、ボディサイドのメモリを変更する。 [TRIGGER!] [CYCLONE! TRIGGER!] 「サイクロントリガー……だったら僕も!」 そう言いつつ、僕はメモリーメモリをベルトから抜き、ウェポンスロットに装填する。 すると左胸の位置にメモリーの装甲と同じ色のトリガーマグナム、メモリーマグナムが現れる。 「行くぜ、空気野朗!」 「空気って言うんじゃねぇ!」 そんなことを言いつつ、ドーパントはかまいたちをWに向かって飛ばす。 だが、Wはやすやすとかわして風の弾丸を敵に撃ち込む。 「てめぇ、いいかげんにしやがれ!」 「僕も忘れてもらっちゃ困りますよ!」 ドーパントに言い返しつつ、僕もメモリーマグナムで敵を射撃する。 「ぐあああああ!?……なーんてな」 「『「何!?」』」 その瞬間、まるで砲撃のようにものすごい風圧がWとメモリーに襲い掛かる! 「『「あぁぁぁぁぁッ!?」』」 その攻撃で、Wとメモリーは工場の壁を突き破り外へ放り出される。 「今の攻撃、なんだってんだ!?」 『あの攻撃は風……もしかして』 「ええ、フィリップさん。おそらく空気を圧縮してから一方向へ一気に開放したんでしょう。 となると、直撃すればけっこうヤバいですよ」 そんな感じで、僕らはドーパントの攻撃を回避しながら話し合っていた。 「……翔太郎さん、フィリップさん。一つ思いついた打開策があるんですけど」 そう言って、僕は翔太郎さんとフィリップさんに作戦を伝える。 「どういうことだ?」 『ああ……なるほどね』 「ってわけで、協力お願いします!行きますよ、ボス!」 「ボスっておい……まあいいか。作戦は良く判らねぇがやるぞ、フィリップ!」 『もちろんだとも、翔太郎』 そして、Wは『ハードボイルダー』、僕はバイクが無いのでハードボイルダーの後ろに立って メモリーマグナムで牽制射撃をする。 「てめぇらチョコマカ逃げ回ってンじゃねェェェェェェェェ!」 ドーパントは風を背中側から噴出しバイクに匹敵する速度で追いすがってくる! まぁ、追って来てくれないと、作戦自体成立しなくなるんだけど…… そして半時間かけて、ドーパントを狙い通りの場所、港まで連れて来た。 「や、やっとたどり着いたぜ……」 『途中、竜巻で上空に打ち上げられたときはどうなるかと思ったよ……』 「で、でも目的地には着きました!後は……!」 「おう!コイツで決めるぜ!」 [JOKER!] [CYCLONE! JOKER!] そしてサイクロンジョーカーに変身したWは、 サイクロンサイドの能力で竜巻を巻き起こしドーパントの攻撃を吸収・無効化する。 「なんだと!?俺の砲撃を取り込んでやがるのか!」 「当たり前だ!お前なんかの風が相棒の疾風(サイクロン)に敵うか!」 『まぁ、当然の結果だね』 そしてWは、その風を纏った右腕でエア・ドーパントを上空へ殴り上げる! 「がはっ!?だが俺はこんな攻撃では……」 「誰がそれだけって言いましたか!」 [MEMORY!] 「メモリーシャフト!いっきまぁす!即興技、ライダーバッティング!」 「ぐぁぁぁぁぁ!?」 僕は打ち上げられたドーパントをメモリーシャフトでバッティングするように打ち、海の中に叩き込んだ。 「くっそ、あいつら!砲撃してや……ッチ!、空気がねぇ!」 そう、僕がWに伝えた作戦とは、『ドーパントを水中へ沈める』というものだった。 メモリーの力を使ってドーパントの能力を検索した結果、 エア・ドーパントの能力が『接触している気体を操る』という物だったから、 『気体に接触しない状況』を作り出せば良いと思い、 この作戦を考えついて翔太郎さんとフィリップさんに教えたんだ。 「翔太郎さん、フィリップさん!仕上げ行きますよ!」 「『ああ!』」 そして二人揃ってメモリを取り出し、マキシマムスロットへ挿入する。 [JOKER! MAXIMUMDRIVE!!] [MEMORY! MAXIMUMDRIVE!!] 「まずは……その場に縫いとめる!」 そう叫び、メモリーシャフトをドーパントへ投げつけ、突き刺してその場に足止めする。 「ガァァァァッ!?動けねぇ!!」 「メモリー!同時に決めるぞ!!」 「了解です、翔太郎さん!」 「『「はぁぁぁぁぁっ……!!」』」 気合を込め、僕ら二人は上に飛び上がる。そして、メモリブレイク! 「『ジョーカーエクストリーム!!』」 「メモリークラッシャー!!」 Wが左右に分離しキックを叩き込み、 僕はドーパントに突き立てたメモリーシャフトを相手に突きこむように上から踏みつける! 「貴方の罪、記憶しました」 「ぐぁぁぁぁぁぁああああああッ!!」 断末魔の叫びと共にエア・ドーパントは爆発し、メモリが排出され砕け散った。 [事件記録] [ドーパントに変身していた男はすぐに警察に引き渡しました。] [お約束の刃野刑事さんの他に、] [どっかで見たような不器用な警察の人が来て犯人を連行していったけど、なんだったんでしょうね?] [それはそれとして。女の人に気づいてもらえない程度の事でドーパントなんて、アブない人でした。] [まぁ、なんでも、いいですけど。] [翔太郎さんは、どうやら風祭さんにいいところを見せたかったみたいですね。] [でも、婚約しているとわかってすごい落ち込んでました。さすがハーフボイルド。] [そして、明らかになったガイアメモリ販売員の特徴。] [赤いシミのあるスカーフの男、だそうです。一体どういう人物なんでしょう。] [それはともかく、これからも、僕は翔太郎さんたちに協力させてもらうことにしましょう。] 「……こんなものでいいかな。ありがと、マンタレイ」 僕は、マンタレイライブラリに事件の記録を入力するのを終えて、 自分で淹れた紅茶(砂糖少な目のミルクティー)を静かに飲む……つもりだったんだけど。 「亜樹子ぉぉぉぉぉぉ!」 「ぶっふぅ!」 思わず吹いちゃった。何事かと思って見に行くと、そこでは。 「俺のプリン返せ~!」 「もう食べちゃったも~ん♪」 「じゃあ弁償しやがれぇぇぇ!」 と、喧嘩している探偵(二十四歳)と女性(二十歳)。誰かは言わずもがなでしょう。 「翔太郎さん、亜樹子さん……」 「え、聡里くん……?」 「ちょ、おい落ち着け!」 ハリセンを構える僕に対し、あっけにとられている亜樹子さんとオドオドしだす翔太郎さん。 「僕は本来、あんまり手は上げないんですけどね……?」 「「ひいっ!?」」 「いい大人が……なにやってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「ぎゃあああああ!」「きゃあああああ!」 スッパァァァァァァァァァァァァァン!! その日、これまでで最高のヒット音が鳴海探偵事務所には鳴り響き、 後には探偵と所長の屍(生きてます)が転がっていた。 「いっぺん、天国を味わって来て下さい!」 続く! 目次へ
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